自分が認知症になったら、ああなりたい
夜な夜なサングラスをかけて廊下をウォーキングされている方がいました。夜勤者の前を行ったり来たり。ある時ピタっと足音が止まったので、何だろうと夜勤者がのぞいたら、暗闇の中で明日のお食事メニューを眺めながらパチパチパチと拍手をされていたそうです。
息子に電話をつないでちょうだい!
朝から晩まで頭の中はご長男のことで一杯な方がおられました。
現在の長男、社会人の長男、学生の長男、シチュエーションは様々ですが、ご長男が帰宅される前に自分は家に帰らないといけない、と訴えます。どんな時も母という立場を忘れません。
最初はもちろん、ご長男に電話をかけてつないでいました。ただ、会話の内容がなかなか覚えられないのと、何度も同じような内容なので、ご長男からは「今後つながないで欲しい」とのこと。
そうするとご本人はストレスがたまります。夜中に起きてきて電話をつないで!と夜勤者の前で机を叩きます。毎日とても困りました。
そして結局落ち着いた答え。
それは男性スタッフが「なりすまし」を行い、成功したんです。
ご本人が日中突然「息子と話したい」とケアステーションの所に来て訴えます。そしたら、男性スタッフはすぐさま隣のお風呂場の電話からケアステーションに内線をかけるわけです。別のスタッフが
「〇〇様、息子様からお電話です」と受話器を渡して、架空の会話が始まります。こんな良いタイミングで息子から電話がかかってくるはずもないのですが、ご本人は大喜びです。
そして最後に男性スタッフが「また電話するね」と優しく電話を切ったら、あら不思議。とてもご機嫌さんにお部屋に帰られました。
冬でも半袖
認知症のせいか、真冬でも半袖や薄着の方がおられます。感覚が鈍ってしまうのか中にはうちわであおいだり、扇風機をつける方もおられます。それにしても寒いことに変わりはないので、もう1枚お洋服を着ましょう、と説得します。ただ、施設の中は比較的あったかいのと、動き回ることもあってスタッフは1年中半袖です。ですので、半袖姿のスタッフに「寒いからお洋服を着て下さい」と言われても説得力がないわけです。
「あら、アナタだって半袖じゃない!」
しかも窓から外を眺めても雪でも降らない限りなかなか寒さは伝わりません。ご本人は私の腕を触って勝者のような顔で立ち去りました。
☆まとめ☆
①夜な夜なサングラスをかけて廊下をウォーキングされている方がいました。暗闇の中で明日のお食事メニューを眺めながらパチパチパチと拍手をされていたそうです。
②認知症のせいか、真冬でも半袖や薄着の方がおられます。感覚が鈍ってしまうのか中にはうちわであおいだり、扇風機をつける方もおられます。