認知症のおばあちゃんは寂しがり屋さん

入居後の生活編

認知症の方には理由がある

 病院から退院されて元気になった重度の認知症の女性が「娘に会いに行く」とか「車椅子を返しに行く」とお話しして下さりました。私は初めてお声を聞けた驚きと徘徊される理由があったんだという、感動の気持ちを今でも忘れません。

目線を同じ高さにする

 何か座って作業を行う時、必ず徘徊される方の隣に座ります。
ひと言ふた言は話しますが交流をするわけではなく、セッセと隣で仕事をするだけです。
たまにお声掛けする程度ですが、なぜかずっと隣で座ってて下さります。
もしかしたら歩く必要がなくなるのかもしれません。


 徘徊される方は1人が動き出すと、他に徘徊される方も不思議ですが同じように動き出します。
逆に1人が落ち着きつくと全体的に皆さんも比較的ゆったりとされています。

 時間がある時はなるべくバタバタしたり、離れた場所でスタッフだけでおしゃべりしないように気を付けます。スタッフが隣に座って何か作業をするだけで、そして他愛のない会話をするだけで少しずつ落ち着いた空間になるのかもしれません。そうすると他の徘徊される方も居眠りし始めたり近くに来て話しかけて下さったりして、どこかへ徘徊される頻度は減るように感じています。

ある認知症の方が、日々記憶が薄れていく自分に驚いておられました。忘れていく過去を何度も確認されます。恐らくとてつもない不安が押し寄せてきているのでしょう。
施設は24時間体制なのでスタッフは入れ代わり立ち代わり変更します。周りのご入所者も流動的です。色々な人達が行き交うと、どんどん寂しさが増してくるのはもしかしたら当たり前なのかもしれません。

 なるべく寄り添うことが大切ですね。家族にはなれませんが、なるべく近くで見守っているよ、というスタンスで目線を同じ高さにすることを心がけたいと思います。

少なからず刺激は必要です

 食堂や廊下で談笑される空間を大切にしたいと考えています。
お部屋で横になったり、ずっとテレビを見ているだけでは刺激もなければ腸も動きません。

 楽しく談笑されていると、つい間に入りたくなって一緒に笑い合いたくなります。
そして必ず、何かしらお手伝いをお願いします。
タオルを畳んだり、テーブルを拭いたり、チラシで作るゴミ箱を作って頂いたりします。
ご入所者もみんなで手伝うので楽しそうです。
手を動かす、笑う、お手伝いをしているという気持ち、もしかしたら普段と違う時間の使い方によってお通じも容易になるかもしれません。色々な効果を期待します。

 お手伝いしながら「なんだか最近どんどん忘れちゃうのよ、ボケてるのよねぇ」と認知症の方がおっしゃります。「そんなの私だって一緒じゃない」なぁんて口に出してお話しすると悩みや不安も発散出来てプラスなことしかありません。

☆まとめ☆

①病院から退院されて元気になった重度の認知症の女性が「娘に会いに行く」とか「車椅子を返しに行く」とお話しして下さりました。私は初めてお声を聞けた驚きと徘徊される理由があったんだという、感動の気持ちを今でも忘れません。

②食堂や廊下で談笑される空間を大切にしたいと考えています。
お部屋で横になったり、ずっとテレビを見ているだけでは刺激もなければ腸も動きません。

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