老人ホームでの入居生活は快適な空間なのか
人生の後半を過ごす場所として老人ホームは幸せな空間でしょうか。
そして自宅での生活は果たして本当に幸せなのでしょうか。
もちろん人によって全く違うと思いますが、必ずしも自宅が最適だとは限らないと考えています。
老人ホームは幸せなのか!?
ベストな環境は『自宅で余生を過ごす』こと、です。
ただ、老人ホームを検討されるということは自宅での生活に何かしら限界を感じているわけですから、私自身の勝手な考え方ですが、老人ホームは人によっては自宅より快適な空間になる可能性は高いと感じています。
働く側としては少しでも良い環境を提供したい。老人ホームに入居して悪くはなかったな、と感じてもらいたい。スタッフとして出来ることを日々模索しています。

「家に帰りたい」
「ほったらかしにされている」
入居中、帰宅したいと何度もおっしゃる方がおられますが、自宅に戻った場合、住環境は整っていますか? 玄関の段差やトイレ、お風呂やベッドなど使いやすい状態でしょうか。
そして介護が必要であればご家族と同居になる確率は高いでしょう。そうなると子供やその配偶者に手伝ってもらうことが増えるわけです。毎回気を使ったり遠慮することもあるでしょう。
でももし老人ホームであれば息子や嫁より頼みやすいと思いませんか?
さらに家族以外でおしゃべり出来る方はおられますか?
老人ホームであれば他入居者だけでなくスタッフも含め誰かしら人はいます。
人がいても孤独は孤独だ!
と言う方もおられるでしょうが何かしらの気分転換になるかもしれません。気休めかもしれませんが転倒や発作、突発的な事故に関しても誰か近くにいると思うと安心材料になるでしょう。
私はまだ高齢者になったことはありません。
ただ自宅での生活はお元気だった頃の自由な空間とは確実に違うということは容易に想像出来ます。考え方次第ですが様々な不自由を実感した時に自宅と老人ホームを比較してみて下さい。
検討の1つとして老人ホームは快適に過ごすための最適な手段になると思います。
老人ホームの選び方
老人ホームを決めるにあたって、様々な優先順位があると思います。例えば
ご本人の症状に合った老人ホームなのか、そして症状が変わっても対応してくれるのか。
ご家族、もしくはご本人の自宅近くの老人ホームにするのか、またスーパーや病院などは近隣にあるのか。
入居費用に見合った老人ホームなのか。(介護度などが変わると費用も変わります)
決める判断は色々ですがご本人や周りの人達としっかり相談しながら決めると良いでしょう。
老人ホームに入るには

①ご家族からの問い合わせ
老人ホームに入るには色々な方法があります。役所から案内を受けたり、専門家(ケアマネや相談員など)からの紹介、インターネットやパンフレットなどの情報を得て申し込むなどです。
人それぞれ方法は違いますが、結局ご家族などからの問い合わせによりスタートします。
老人ホームの窓口には相談員(ソーシャルワーカー)がいます。ケアマネージャーが対応する老人ホームもあるかもしれません。
ご家族の中でも出来ればご本人の代表者になる方が相談に来て下さるとお話しは早く進みます。
②ご本人の確認と老人ホームへの理解
次にご本人の確認です。
かかりつけ医のおられる方は健康診断書や診療情報提供書の作成を依頼されるでしょう。
お世話をする上で医療的に気を付ける点やお薬の内容の確認も必要になるからです。
そしてご本人との面接です。
併設された老人ホームのサービスを利用されている方や入院中の方はスタッフが会いに行くことが出来ますが、ご本人が老人ホームを訪問することもあります。
最近は施設側が会いに来てくれることも多いようです。
ご本人の性格や心身状況、老人ホームへの理解などお話しさせて頂くことになります。
集団生活ですから慣れていない方は特に色々と質問をしましょう。不安を解消して、合うか合わないかを施設側だけでなく、ご入居者とご家族も判断して下さい。
③入居判定と待機
ここで重要なポイントです。申し込みをしたからといって全ての人が入居出来るわけではありません。医療面や認知面やご家族の協力など、「対応出来ません」と判断されれば入居は出来ません。これは公的な老人ホームより民間の老人ホームの方が有り得るかもしれません。
入居が可能となれば大抵が“入居待機”という形でベッドが空くのを待つことになります。何年も待つこともあれば数か月、もしくは待機なしの場合もあります。
入居後の悲劇

入居されて間もなく色々なハプニングが起こりやすいのは確かだと思います。ご本人やご家族だけでなく、老人ホームのスタッフが慣れるまである程度時間は必要です。
<入居してからすぐに転倒して骨折されて入院>
住み慣れない空間で手すりやバー、車いすやバギーの使いこなしが上手くいかず、無理をしていまい、転倒され、骨折され、あげくに病院へ入院されるパターン
<老人ホーム側が知らないことがありトラブル発生>
実は感染症をわずらっていた、とか薬が変更されていた、など申し送られていないことがあり、対応が遅れてしまうパターン
<集団生活に慣れずプチパニック>
ご本人が入居を理解していても想像以上にストレスがかかり、認知症が進んでしまったり精神面が不安定になってしまうパターン
例をあげると数多くパターンはあります。入居後は何かしら落ち着くまで時間はかかると思って頂けると良いかもしれません。
対策としてはご本人の代表者となるご家族はスタッフとのコミュニケーションが大切です。もちろんスタッフ側もこれは重要なポイントです。双方のタイミングが難しいようであればメールや電話でも良いでしょう。フロアリーダーなど誰か話しやすいスタッフを見つけておくことも重要かもしれません。
☆まとめ☆
①老人ホームを決めるには優先順位があります。決める判断は色々ですがご本人や周りの人達としっかり相談しながら決めましょう。
②入居申し込みには主となるご家族のお問い合わせからスタートします。関係者からの情報をもとに面接をして判定されます。待機、もしくは入居不可の場合もあります。
③入居されて間もなく色々なハプニングが起こりやすいです。ご本人やご家族だけでなくスタッフも慣れるまである程度時間は必要です。ご家族とスタッフはなるべくコミュニケーションをとることが望ましいです。
④ベストな環境は『自宅で余生を過ごす』ことです。ただ高齢者になると自宅での生活はお元気だった頃の自由な空間とは確実に違います。検討の1つとして老人ホームは快適に過ごすための最適な手段になると思います。