生かされている、老人ホーム!?

入居後の生活編

「生きる」と「生かされる」の違い

 最近は延命治療を望まないご家族が増えてきました。
ただ、老人ホームは安全で栄養管理も万全で、医療面や環境面も整っています。
在宅に比べて様々な専門家も人手も足りているといえるでしょう。

1人になってから自由になった

 洋服に自分の名前を刺繍しながら話す90代の女性は今が1番快適だと言います。生まれた家ではずっと母の相手、結婚してからは夫と息子の世話、息子が自立して夫には先立たれたけど、1人になってようやく自分のことを考えることが出来るようになった。ようやく自由になれた。
お風呂上がりには「綿100%の肌着が1番良い!」と毎回教えてくれながら保湿クリームを全身くまなく塗ります。「お風呂掃除も3度の食事も自分でやらなくて良いのが有り難い」と言いながら自身のメンテナンスを欠かしません。食べる物から生活スタイルまで色々とこだわりながらイキイキと生きておられます。

ご家族のために生きている

 認知症の99歳の女性です。
決まった時間に朝日を浴びて決まった時間に3回ミキサー食を完食します。歩けないので車椅子に乗ります。色んなスタッフに声をかけられながら、定期的にオムツ交換が行われます。あまり好きではないのでスタッフをたたきます。お風呂でもたまに嫌な気持ちになります。スタッフを引っかいてしまったり、噛んでしまうこともあります。でもゆっくり湯舟に浸かります。ほとんど言葉を理解することは出来ません。おしゃべりも笑うことも忘れてしまいました。
時々息子が笑顔で会いに来ますが、誰だか分かりません。食後にやって来てショートケーキを目の前に置きますが食べれません。ただ白髪頭の息子は幸せそうに話しかけます。

 この親子を見ていて私は思います。もし、この2人が在宅で生活していたらどうなっていたのだろう。老人ホームですから毎日の日課を問題なく過ごされていますが、ご家族がご本人のお世話をするとなると、なかなか感情的にもなりますし、出来ること出来ないことが多々ありそうです。
お元気だった頃のご本人が今の自分を遠くから眺めることが出来たなら、どんな風に感じるのだろう。
でもはっきり言えることは息子は母親に会えて嬉しそうです。母親のことをどれだけ理解しているかは分かりませんが笑顔になっているのは確かです。

もちろん自分の意思で「生きる」ことがベストです。老後も自由にイキイキと自分のメンテナンスをしながら生きることが出来たら最高です。
あくまでも私見ですが、老人ホームにはもしかしたら「生かされている」人も少なからずおられるのかもしれません。
以前102歳の女性が「生きてればいいってもんじゃない」とおっしゃった意味を深く感じます。
今後「生きる」場所を提供する老人ホームの在り方として模索する必要があると考えています。

☆まとめ☆

①洋服に自分の名前を刺繍しながら話す90代の女性は今が1番快適だと言います。食べる物から生活スタイルまで色々とこだわりながらイキイキと生きておられます。

②あくまでも私見ですが、老人ホームにはもしかしたら「生かされている」人も少なからずおられるのかもしれません。

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