入浴介護の方法と施設それぞれの浴室や浴槽

入居後の生活編

施設によってお風呂への考え方は様々です

 いくつかの施設へ見学や研修、就職をしているので大抵は浴室を見ていますが本当に様々です。
建物と一緒で一度固定されると簡単には変更出来ません。
その時代ごとに「この浴室がベストだ」と考えて設計されているのでしょうが、時代が変わるとその浴室は一気に古い建物になるわけです。

 そしてもしかしたら「コレが正解!」という浴室は色んな症状の人達が利用する以上、なかなか難しいのかもしれません。

施設ごとの考え方で浴室の場所は変わる

 浴室はご本人の生活する同じフロアに大抵あります。寒暖差に敏感な高齢者のためにも居室から浴室までの距離は短いことが一番ベストな環境だと言えるでしょう。建物面積の問題で違うフロアに設置され、毎回エレベーターに乗って浴室に行くのは仕方のないことですがとても不便です。

 古くからの施設では風呂場が地下にあったり、中には離れに設置されている施設もありました。雨の日も風の日も傘をさしたり、風に吹かれながら風呂場へ向かう姿はとても衝撃的だった記憶があります。

 そして、脱衣所が広く大浴場もよくある光景です。デイサービスと併設していたり、100人以上の入所施設では当たり前かもしれません。風呂場が広いのはお世話はしやすいですが温度調節が難しい印象があります。

 施設によっては入浴は日中だけではなく夜にも入れる施設があり、早めの夕食後に入浴する方もおられました。

 ある施設では施設長が

自分だけのお湯に浸かりたい
毎回お湯を入れかえよう!

という発案で、一般のご家庭で使われているような浴槽が広い空間にずらりと並んでいる浴室もありました。先に入った方が出られると栓を抜き、一旦お湯を抜いてまた次の方のためにお湯を入れるという作業が必要になります。

 ただ、個人的には当然かもしれませんが1人用の脱衣室に1人用の浴室、浴槽が好みです。大抵は有料老人ホームではその夢はかないそうですが、一般の施設では数少ないですね。

その人に合った浴槽

 色々な浴槽があります。ごく一般的な個人の浴槽は足をまたいで入りますが、またげない方用の機械浴槽があります。例えば

台に座ると浴槽がその台の高さまで上がってくる浴槽。
車いすに座ったまま入る浴槽。(チェアー浴)
寝たまま入る浴槽。(ストレッチャー浴)

 業者さんによって多少の違いはあるものの、ざっくりと主流の機械浴槽がこの3パターンではないでしょうか。その人の状態によってその人に合った浴槽を選びます。素肌に直接、機械の接続部分が当たらないよう細心の注意が必要です。

余談ですが重度の方だからといって横になった姿勢のままのストレッチャーが良いとは限りません。拘縮があって小柄な方であれば、ごく一般の個浴に浸かって頂いた方がご本人もスタッフも負担少なく入浴出来る場合もあります。

 以前はよくリフト付きでつり上げて浴槽に入る機械浴槽がありましたが、あまりオススメしません。一度体験しましたが、とても怖かった記憶しかないからです。

※様々な福祉用具を活用しましょう。手すりだけでなく、台や椅子にも色々工夫された物があります。

入浴の際の注意点

 当たり前ですが、高齢ですので入浴前は必ず事前に健康チェックを行います。前日や今朝のご様子も含め、体温、血圧、脈拍、酸素飽和度などを調べます。

 入浴中はお身体の全身チェックが出来る最大のチャンスです。引っかき傷やアザなど、高齢になるとすぐに皮膚に跡が残りますので分かりやすいです。
 多くの方が5分程の入浴ですが、10分近く希望される方、逆に2分程度の方もおられます。
 温度も熱めや温め、お湯もたっぷりや、半身浴など希望は様々です。

入浴後は手足の爪切りや水虫のチェックがかかせません。
肌の保湿に心がけましょう。大抵の方が乾燥されています。ローションやクリームを背中だけでなく全身たっぷりと塗布します。
水分補給も大切です。紅茶ゼリーやスポーツドリンク、紅茶やコーヒーなど本人の飲みやすい物を提供します。

☆まとめ☆

①施設によって浴室の構造が違います。その時代によってベストだと思われる浴室設計がなされています。寒暖差に敏感なお年寄りのためにもフロアなどの移動距離が狭いことが一番ベストな環境だと言えるでしょう。

②色々な浴槽があります。ごく一般的な個人の浴槽は足をまたいで入りますが、またげない方用の浴槽もあります。その人の状態によってその人に合った浴槽を選びましょう。

③入浴の際には事前チェックと入浴中、入浴後にも注意点があります。

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